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皆さんこんにちは!
株式会社名取工業、更新担当の中西です。
前回のブログでは、型枠工事の現場環境や課題について掘り下げました。
今回は視点を未来に移し、これからの型枠工事がどのように進化していくのかについてご紹介します。
建設業界全体で「デジタル化」が進行していますが、型枠工事も例外ではありません。以下のような技術が、型枠工事の“未来の姿”として期待されています。
BIMを使えば、設計段階から施工までの情報が一元化され、型枠の配置や組み方も3Dで視覚化できます。これにより、施工ミスの削減や、作業時間の短縮、現場での伝達ミスの防止につながります。
一部では、大型3Dプリンタを活用したコンクリート型枠製作の試みも始まっています。複雑な曲面や非対称な構造にも対応でき、今後の革新が期待されます。
ロボットによる型枠運搬・組立支援、AIによる工程管理、ドローンによる施工確認など、「人手に依存しない」現場づくりが現実味を帯びてきています。
未来の型枠工事では、技術の進化とともに“人材の育成”も重要なテーマです。
仮想空間で型枠の組み立てを体験できるVR教材が実用化されており、初心者でも安全に知識と経験を積むことができます。
職人として始めた若者が、技能士資格や建築施工管理技士などのステップを経て、施工管理者・経営者として活躍できる道筋を示すことで、将来に希望を持てる環境が整いつつあります。
地球環境への配慮が求められる今、型枠工事でも「サステナブルな選択」がカギになります。
リユース型枠の標準化:耐久性のある鋼製・樹脂型枠の導入が進み、使い捨て文化を変える動きが活発に。
環境配慮型の塗料・離型剤:水性・無溶剤型の材料が主流となり、作業員の健康にも配慮。
LCA(ライフサイクルアセスメント)意識の高まり:材料選定から廃棄まで環境影響を評価し、省エネ設計を目指す企業も増加。
かつて“男社会”だった型枠工事の現場にも変化が起きています。
女性技能者の登用:作業の分業化や工具の軽量化により、女性でも対応可能な範囲が広がってきています。
外国人技能実習生・特定技能人材の活躍:言語支援や技術教育の仕組みが整えば、即戦力として期待される存在に。
未来の型枠工事は、「伝統技術の継承」と「テクノロジーの融合」の両輪で進んでいきます。単なる肉体労働ではなく、情報・設計・現場作業が統合された“高度な技術職”としての位置づけが明確になるでしょう。
そしてその先には、より働きやすく、より地球に優しい、持続可能な建設現場の実現が待っています。型枠工事は、建設の未来を担う最前線の仕事として、今まさに大きな転換期を迎えているのです。
皆さんこんにちは!
株式会社名取工業、更新担当の中西です。
今回のブログでは、建設現場に欠かせない「型枠工事」という仕事に焦点を当て、その環境や労働実態について詳しくご紹介します。
建築の基盤を支える“型枠工”たちの姿、直面している課題、そして今求められている改善の方向性まで、現場のリアルをお伝えします。
型枠工事とは、鉄筋コンクリート造の建築物において、コンクリートを打設する際にその「形」をつくるための型(=型枠)を組み立て、解体する作業です。
使用される型枠は、合板・木材・金属などで構成されており、打設されたコンクリートが固まった後、枠を外すことで建物の壁・柱・梁といった構造が出来上がります。
この工事の精度が、コンクリートの品質や建物の美観、強度、耐久性に直結するため、非常に重要な工程でありながら、一般にはあまり知られていない存在でもあります。
型枠工事の現場は、建設業の中でも特に“体力勝負”な現場です。以下のような厳しい環境のもとで、職人たちは日々汗を流しています。
炎天下・極寒での屋外作業
夏は40度近い気温、冬は氷点下の寒さの中での作業が続きます。日陰の少ない高層建設現場では熱中症のリスクが高く、真冬は指先の感覚がなくなるほどの冷え込みの中、慎重な作業が求められます。
高所での危険作業
足場の上や高層階で型枠を組み立てる作業は、常に転落や落下物のリスクと隣り合わせです。安全帯やヘルメット着用など基本的な安全対策は取られていても、100%の安全は保証されない現場です。
重作業の連続
型枠材料は1枚20kg以上のものもあり、それを担いで移動・固定・組み立て・解体という作業を繰り返します。腰痛や膝の痛みに悩まされる職人も多く、体の消耗は計り知れません。
近年、型枠業界が直面している最大の課題は「職人の高齢化」と「若者の職離れ」です。日本型枠工業会の調査によると、型枠工の平均年齢はすでに50歳を超えており、20代の新規参入者は全体の10%にも満たない状況です。
この背景には、以下のような理由が挙げられます。
3K(キツい・汚い・危険)のイメージ
技術習得に時間がかかる
給与水準が他業種に比べて安定しにくい
キャリアパスが見えにくい
このままでは将来的に“型枠を組める人がいない”という事態も現実味を帯びてきています。
型枠工事では、大量の木材(合板型枠)が使用され、それが使い捨てられることも少なくありません。合板型枠は数回の使用で反りや欠けが発生し、再利用が難しくなるため、廃棄物が多く出ます。これは森林資源の消費、処理時のCO₂排出といった環境負荷につながっています。
これに対して、以下のような環境配慮の取り組みが始まっています。
鋼製型枠(メタルフォーム)の導入:再利用可能で強度の高い型枠を活用することで、廃棄を大幅に削減。
型枠リースの普及:資材を購入せず、必要な期間だけ借りることでコストと環境負荷を軽減。
廃材の再資源化:使い終わった木材型枠をチップ化して再利用する動きも一部で始まっています。
型枠工事は、現場の最前線で建築の基礎を支える重要な役割を担っています。しかしその裏では、労働環境の厳しさ、人手不足、環境負荷という複合的な課題を抱えています。
今、業界には「働きやすい環境づくり」と「環境負荷の低減」の両立が求められており、その実現が次世代の型枠工事のあり方を左右するカギとなるでしょう。